2015年10月31日土曜日

七五岳3日目

3日目朝も快晴。今日も11時間ぐらい寝た(笑)
今日の目的は、とにかく頂上から70mロープで懸垂しながらフリーで登れる可能性を確認しながら取り付きまで降りること。
取り付きからは再び歩いて左回りで頂上に戻らないといけないが、昨日の東稜取り付きまで降りた感触では、多少のヤブコギはあってもなんとかなるだろう。
昨日は強かった吹き上げも今日はピタリと止んで、無風。
北壁とはいえやや北西向きなのでこの時期3時ぐらいから陽が当たるが、昼間は日陰で寒い。
懸垂作業ながらも、快適な無風は助かる。
さっそく懸垂開始。
昨日のポイントから右下に向かって降りる。
テラスにビレイポイント設置して、おそらく核心のピッチになるであろう22.3mのフェースをなめ回すように上から下へと長石のホールドを確認しながらゆっくり降りていく。実際にはかなり右へ左にムーブ複雑そうだが、なんとか自分の力量の中で登れそうなラインだと確信する。あとはキーホールドの長石が完全に途切れないように欠けないことか。

その下はまさに中央稜という言葉がピッタリはまる岩塔のカンテにラインはずっと伸びていた!
核心のピッチ取り付きのテラスから下は3ピッチ、約100mほどで横断バンドの草付き末端に到達。
最後の最後、つまりこのルートの出だしパートのみちょっとラインに迷うが、時間がもう2時になってしまったのでとりあえずバンドに立ってロープをたたんで荷物をまとめる。
90分ぐらいかかって頂上に戻る。
やはり横断バンドの草付きをあるきながら見上げた感じでは、屋久島最大の1枚岩というのも本当だった。
傾斜もあるので迫力も威圧感もある。
素晴らしい壁だ。

午後4時。
日没まであと一時間しかないが、どうしても核心のピッチを試登しておきたい。
70mシングルで大凹角の頭テラスまで届くので再び懸垂する。
重い思いをしてでもこの長さのロープを持ってきて良かった!
さっそくマイクロトラクションにフィックスロープを通してたすき掛けにしたスリングをチェストがわりにして登り出す。
傾斜は88度ぐらい。
長石はけっこうたくさんあるが、どれもかかりは良くない。
あちこちに点在する持てる長石と、立てる長石を結ぶためにラインを探しまくる。
予想通りに右に左にラインは蛇行している。ほとんど1.2手毎にテンションが入るが、9.4ミリのロープは適度に伸びてくれるので、落ちる前のところからやり直せる。
ちっちゃいマイクロトラクションだけが、この高みで自分の命を確保してくれているのだが、すっかり信用できてムーブに集中できる。
15mほどのところがなかなか解決出来なかったが、突然閃いたムーブがはまり解決!
そのあと5mはテラスまでノーテン。
思わず笑みがこぼれる!
続く5ピッチ目と目される左上ラインはこれまた素晴らしく、抜け口のムーブは独りでしびれて感動した!

陽がくれたアーベンロートに包まれた頂上で、
今日もとても充実した1日になったことに、感謝した。

グランドアップは無理だけど、しっかりしたボルトを無理のない間隔で適所に打つことになるだろう。
RやXのつくマルチピッチルートは、自分には登れない。
スポートマルチピッチルートになることを、この場を借りて詫びたい。

また来るからな、と夕陽に向かって小さくつぶやいた。

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